テイルコートとはすなわち燕尾服のことで、男性の夜の最上級正礼服の一つ。黒い上着の後裾が長く、ツバメの尾のように長く割れているのでそう呼ばれています。イブニングベストといわれる白のベスト、ウイングカラーのシャツに側章が2本入ったパンツを合わせるのが基本となっています。第二次世界大戦前までは夜の正礼装として活躍しておりましたが、現在では宮中での公式行事、クラシック音楽のコンダクターの服装など、極めて格式の高い式典で着用される程度で、庶民生活から遠く離れた存在になってしまいました。最近では、その地位をタキシードに譲る形になっています。
現代においては,燕尾服のドレスコードは宮中晩餐会、国家主催のパーティー、ウィーンで開催されるオペラバル、カイザバルの二大舞踏会、勲二等以上の叙勲、ノーベル章の受賞式などです。
ノーベル賞の受賞式はスウェーデンのストックホルムにあるコンサートホールで開催されますが、出席者は全員燕尾服の着用を義務づけられています。
これ以外に燕尾服と縁が深いのは、オーケストラの指揮者、楽器演奏者、一流ホテルのドアマン、結婚式場での新郎の衣装、ダンスの競技会、宝塚歌劇団、映画の世界です。
一つは伝統行事のため、古くからのしきたりをかたくなに守っていること、今一つはお客様に対し最高の敬意を服装を通じて表そうというものです。
White tie または、Most Formalとなれば、夜の礼服、燕尾服を着なければなりません。Vゾーンは白一色でまとめるのが、燕尾服着こなしのポイントです。着用に際しは、19世紀後半に確立したこの伝統的な着装法を変えることは、許されません。
昼間の正礼服です。元々はフロックコートの前裾を乗馬用に切り落としたもので、朝の散歩服として作られたため特別な場合以外、夜間には着用しない決まりになっています。第一次世界大戦以降に正礼服に昇格し、一般的に広まったのは19世紀後半と言われています。
上着は黒またはグレーのモーニング型で、中には上着と同色のベスト、これにストライプのパンツを合わせます。
日本では、内閣総理大臣・最高裁判所長官の親任式や、認証官認証式の際、叙勲や受章等で宮中に参内するときなどに使用され、昼間においても特別な盛儀の場合や、大綬章(大勲位菊花大綬章、旭日大綬章、瑞宝大綬章、桐花章)の親授式の場合には、モーニングコートではなく燕尾服が着用されることもあります。逆に認証式などが夜間に行われるときは、モーニングコートを着用するのが習わしになっています。
一般的には、昼間の結婚式、披露宴での新郎のほか、新郎新婦の父親、媒酌人、主賓が着ることが多いコートとなります。
他に、入学式・卒業式の他学校での各種記念式典での主催者側代表の校長、園長、理事長教頭、主賓。なお校長がモーニングを着用しない場合は、教頭もご着用を避けた方が無難です。
葬儀及び告別式での喪主や親族(ただし、通夜、3回忌以降の法事では着用しない)となります。
モーニングコートは華やかさとフォーマルを兼ね備えた、昼の装いとして今後も活躍するコートとなるでしょう。 このモーニングの略装がディレクターズスーツとなります。
フロックコートは,実は現代のスーツの原型となったもので,1800年代前半には現代の燕尾服、モーニングコートよりも、由緒ある正礼装として用いられていました。
元々は16世紀にドイツ地方の農民が作業時に着たものでしたが、徐々に市民の外出着となっていきました。
その後、動きやすくするために、このフロックコートの上着の前裾を腰から斜めに裁った形のものを作り、これをカッターウェイコート=モーニングコートと呼ぶようになり、フロックコートはモーニングコートよりも格上の最上級の礼服の地位となりました。
紳士服は新しいものが誕生すると、これまで着ていた服が、1ランク特進して上位になっていきます。これを何回かくりかえし、礼服へと出世します。
礼服の中でもフロックコートは最上級のものとなり、今では、本来のフロックコートの原型(ダブルで腰の切り返し、背中のカーブの絞りがあるもの)を作れるテーラーも少なくなっているのではないでしょうか。本来のフロックコートは礼服の域から脱し,洋服歴史書の世界へ入ってしまいました。
もう50年すると,次は燕尾服が定年を迎えるのではないでしょうか。
この頃で述べるフロックコートとは、こうした原型フロックコートではなく、現代にアレンジしたシングルフロックコートのことです。
今では、結婚式、披露宴で新郎がお召しになる際のものとしてロングタキシードと双璧に人気のあるメンズウェディングスーツとして形を変えて復活してます。
別名、プリンスアルバート、アルバートフロック。
ロングタキシードは、普通のタキシードの着丈より長く、日本で独自に生み出されたもので、メーカーによってはショートフロックコートと呼んでいるところもあります。
スーツより少し長い着丈が特徴で、ファッション性を重視したお洒落なタキシードと言えます。ドレスコードは準礼装となりますので、教会式からレストランウエディングまで幅広く着用いただけます。また、他の正礼服とは違い、時間帯の制限もないのが特徴です。
ロングタキシードと呼ばれてはいますが、通常のタキシードの原型(拝絹でショールかピンクで1釦)をとどめておらず、まったくの造語と考えるべきでしょう。
むしろ、フロックコートの着丈が膝まで、それをハーフコート丈にまで短くしたショートフロックコートの方が正しい表現かもしれません。
日本で新郎用の衣装としてメーカーが提案してきたもので、最近のスリムシルエットを表現すべく、上着の丈をクォーターサイズまで短くし、下半身の見える割合を増やす事で足を長く見せる効果を狙っています。
また上着のウエストの絞り度合いをキツくしており、この点もシャープなシルエットを考慮した点と言えるでしょう。
よってドレスコードとしては準礼装という位置付けになっておりますが、明確なルールはまだできていないと考えても良いでしょう。
多様化するファッション界の中で、今後も目が離せない注目のショートフロックコートです。

















